指定時間待機する
VBA で特定の時間待機する方法として、一般的によく使われるのが「Sleep」、「Application.Wait」、「DoEvents」です。 この記事では、それぞれの使い方、特徴、メリットとデメリットについて詳しく解説します。
各方法の比較
まず最初に、この記事で紹介する 3 つの方法を比較した表を示します。
方法名 | 単位 | 精度 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
Sleep | ミリ秒 | 高い | 高精度、シンプルなコード | API 宣言が必要、他の処理をブロック |
Application.Wait | 秒 | 普通 | 簡単に使用可能、Excel 標準 | 精度が低い、他の処理をブロック |
DoEvents | 秒 | 高い | 他の処理が可能、高精度 | 複雑なコード、CPU 使用率が高い |
それぞれの方法には、精度や使いやすさ、他の処理との並行性などに違いがあります。以下では、それぞれの方法について詳しく解説します。
Sleep を使った待機方法
使い方
Sleep 関数は、Win32 API を利用してミリ秒単位で待機する方法です。以下のコードは、VBA で Sleep を利用する例です。
Declare PtrSafe Sub Sleep Lib "kernel32" (ByVal dwMilliseconds As Long)
Sub WaitWithSleep()
Sleep 3000 ' 3000ミリ秒(3秒)待機
End Sub
特徴
- 単位:ミリ秒
- 精度:高い
- 必要な宣言:Win32 API「kernel32.dll」を利用
メリット
- 精度が高い:ミリ秒単位での待機が可能。
- シンプルなコード:短いコードで待機を実現。
デメリット
- API の宣言が必要:VBA 標準の機能ではなく、外部の Windows API を利用する必要がある。
- 他の処理をブロック:待機中に他の VBA 処理が完全に停止する。
Sleep
関数のより詳細な使い方や具体例については、以下の記事を参照してください。
Application.Wait を使った待機方法
使い方
Application.Wait は、Excel の VBA で定義されているメソッドで、指定した時刻まで待機します。以下のコードは、Application.Wait を利用する例です。
Sub WaitWithApplicationWait()
Application.Wait (Now + TimeValue("00:00:05")) ' 5秒待機
End Sub
特徴
- 単位:秒
- 精度:普通
- Excel 限定:Excel VBA でのみ使用可能
メリット
- 簡単に使用可能:API 宣言が不要で、Excel VBA で簡単に利用できる。
- Excel 標準の機能:追加ライブラリや API を使わないため、汎用性が高い。
デメリット
- 精度が低い:秒単位での待機しかできない。
- 他の処理をブロック:待機中に他の VBA 処理が完全に停止する。
Application.Wait
関数のより詳細な使い方や具体例については、以下の記事を参照してください。
DoEvents を使った待機方法
使い方
DoEvents は、VBA のループ内で使用され、他のイベントを処理しながら待機する方法です。以下のコードは、DoEvents を利用する例です。
Sub WaitWithDoEvents()
Dim endTime As Double
endTime = Timer + 5 ' 5秒後の時刻を設定
Do While Timer < endTime
DoEvents ' 他のイベントを処理
Loop
End Sub
特徴
- 単位:秒
- 精度:高い
- 他の処理:他のイベントを処理しながら待機
メリット
- 他の処理が可能:待機中に他の VBA 処理を並行して実行できる。
- 精度が高い:秒単位での精度が高い。
デメリット
- 複雑なコード:他の方法と比較してコードがやや複雑。
- CPU 使用率が高い:ループ内での処理のため、CPU 使用率が高くなる可能性がある。
DoEvents
関数のより詳細な使い方や具体例については、以下の記事を参照してください。
まとめ
VBA で指定した時間待機する方法として、「Sleep」、「Application.Wait」、「DoEvents」の 3 つの方法を紹介しました。 それぞれに特徴やメリット、デメリットがあるため、用途や状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。高精度な待機が必要なら「Sleep」、Excel 標準の機能を使いたいなら「Application.Wait」、他の処理を並行して行いたいなら「DoEvents」を選ぶと良いでしょう。